昨夜、ぶらっと馴染みの寿司屋に立ち寄った。
ビールで喉を潤し、“さぁてと”ネタケースに目を走らせたが、つまみたいネタが見当たらない。

胃腸の調子が悪いわけでもないのだが、最近よく、こうしたことが起こる。寒さにかまけて家に篭りがちな日々が続き、すっかり食欲が失せたようだ。

大将が“おや”とした顔を向け、生姜をいつもより多く出し、珍しくコップを差し出し相伴を催促した。無口な親父が、今朝の河岸の様子のおしゃべりを始めた。

おしゃべりが一段落したタイミングで、2、3切れの鯛の切り身を少し多めのわさびを添えて出した。

今宵は、生姜も山葵もがやけに多い。
食欲が失せた私を、一先ず、生姜で胃を刺激し多めのわさびで味覚を蘇らせる。そんな算段をしたようである。
これが功を奏してか、目がタネケースを泳ぎだし、いつもの宵のが進み出した。

歳を重ねるごとに厄介ごとが増える。寿司を食べるにも人様の力添えがいる様になった。
今宵は、親方の気づかいでなんとか乗り越えたようだ。
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