一言44。心のおしゃれ。

気高く自立する。
老いたと言え、心意気を失わずにいたいものである。

ほろ酔いの宵、地下鉄で席を譲られた。
顔をほてらせぼんやりと立っていると、若い女性から席を譲られ少しあわてて丁寧に断った。

若者が優先席を占拠している、そんな風潮の中での出来事である。

情けない風景が日常化している。

優先席で若い女性がドッカリと座り化粧し直し、制服で“あぁ、あの学校の生徒だ”と分かる小学生が、先を競って席の奪い合いをする。

その一方では、老人たちが、若者が「譲る」ことを当然のこととして、遠慮が損と席を奪い取る、そんな情けない同僚を見かける。

だが、来日している西洋観光客たちは、その優先席に決して座らず、自分たちが座っていた席すら身知らずの老人たち譲り、荷物を棚にあげる手助けする姿を見かける。

そう言えば、こんなニュースがあった。

イギリスでは席を譲る人が多く、シンガポールでは、お年寄りに立ち上がり席を譲る。それに、スリランカでは、優先席がなくても当たり前のように席を譲り合う。

ため息が出る。

私は、心して優先席近辺には近寄らない。“仕事で疲れている”のだと、若者に席を譲る。

“鷹揚自若”の身上に、老いても気力と体力を維持し人に依存せず生き抜く。人の助けが要るほどに老いる前に、“一場春夢”とさっさと終えるのである。

我ら老たるもの、Gallant and Independenceが信条。
“心のおしゃれ”を忘れず生き抜くのである。

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